PhonoFit アイコン PhonoFit アプリを見る
2026 年 10 月 23 日

B と V の聞き分け方:「一瞬か、続くか」を音とスペクトログラムでつかむ

バイオリン、ビタミン、ベテラン。どれも日本語では「バ行」の音です。ところが英語では violin も vitamin も veteran も、バ行とは別の音 /v/ で始まります。berry(ベリー)と very(とても)は、日本語話者の耳にはほぼ同じに聞こえる典型的なペアです。この記事では、音声を聞きながら、聞き分けの手がかりをスペクトログラム(音の成分を色で表した図)で確認していきます。イヤホンかヘッドホンを用意してください。

まず聞いてみる

3 種類の声で、berry と very を聞き比べてみてください。

アメリカ英語・男性
イギリス英語・女性
オーストラリア英語・男性

違いが分からなくても心配いりません。日本語には /v/ という音がありません。/b/ は唇を閉じて一気に開く「破裂音」、/v/ は息をこすらせ続ける「摩擦音」で、音の作りはまったく違うのですが、日本語で育った耳はどちらもいちばん近い「バ行」に丸め込んでしまいます。耳が悪いのではなく、脳の分類の問題です。L と R と同じ構造で、背景は「なぜ日本人は L と R が聞き分けられないのか」で解説しています。

聞き分けの手がかりは「一瞬か、続くか」

/b/ は、唇が開く瞬間の「ポンッ」という一瞬の破裂で始まります。/v/ は、「ヴー」と息のこすれるノイズがしばらく続いてから母音に入ります。注目するのは音の高さではなく、立ち上がりが一瞬で終わるか、こすれが続くかという時間の形です。慣れないうちは、単語の最初の 0.1 秒だけに耳を向けるつもりで、上のボタンを聞き直してみてください。

スペクトログラムで、目で見て比べる

スペクトログラムは、音を「時間(横軸)」と「高さ(縦軸)」に分けて、成分の強さを色で表した図です。明るいところほど、その高さの成分が強く出ています。上端の記号は音の区切りで、枠で囲んだところが /b/ と /v/ の区間です。こすれのノイズが見えるよう、縦軸は 8,000 Hz まで広げています。図かボタンを押すと、再生に合わせて位置が進みます。

berry のスペクトログラム
/b/ は一瞬で、すぐ母音へ
very のスペクトログラム
/v/ は薄いノイズが続く

イギリス英語・女性。縦軸は周波数(Hz)。

berry の /b/ は、枠が線に見えるほど短く、そのあとすぐに母音の明るい縞が始まります。very の /v/ では、母音の前に、薄くザラザラしたノイズが 0.08 秒ほど続いています。これが息のこすれる音で、耳には「ヴ」の手触りとして聞こえます。

beer のスペクトログラム
/b/ の間はほぼ無音
veer のスペクトログラム
/v/ は高い帯域までノイズ

オーストラリア英語・女性。

beer(ビール)と veer(急に向きを変える)では、違いがさらにはっきり見えます。beer の /b/ では、唇を閉じているあいだはほとんど音が出ず、唇が開いた瞬間に母音が一気に始まります。veer の /v/ では、母音の前に、高いところまで広がるノイズがはっきり続きます。B は「無音から一気に」、V は「こすれてから」。この時間の形の違いが、聞き分けのいちばんの手がかりです。

PhonoFit では、練習中に答えたあと、2 つの単語のスペクトログラムを音の区切りといっしょに並べて比べられます。耳で聞いた違いを、目で確かめながら練習できます。

例語ペアで自己テスト

手がかりを意識しながら、ほかのペアでも試してみましょう。左が /b/、右が /v/ です。最後の 2 組は、B と V が単語の途中と終わりにある例です。語頭よりも短く弱くなるので、より難しくなります。

/boʊt/ 船
/voʊt/ 投票
アメリカ英語・女性
/bɛst/ 最良の
/vɛst/ ベスト(衣服)
イギリス英語・男性
/bæn/ 禁止する
/væn/ バン(車)
オーストラリア英語・女性
/beɪs/ 土台
/veɪs/ 花瓶
アメリカ英語・男性
/baʊ/ お辞儀
/vaʊ/ 誓い
イギリス英語・男性
/boʊlt/ ボルト(留め具)
/voʊlt/ ボルト(電圧)
アメリカ英語・女性
/ˈmɑːrbəl/ 大理石
/ˈmɑːrvəl/ 驚異
イギリス英語・男性
/kɜːrb/ 縁石
/kɜːrv/ 曲線
オーストラリア英語・男性

ここから先は「量」の世界

手がかりが分かっても、実際の会話スピードで聞き分けるには反復が必要です。研究で効果が確認されている方法は、多くの話者の声でミニマルペアを聞き、どちらかを判定して、すぐに答え合わせをする、という流れを毎日短時間くり返すこと(高変動音素訓練、HVPT)。この記事の再生ボタンを順に押すだけでは「正解を知ったうえで聞く」練習にしかならないので、ランダム出題と正誤フィードバックのある環境で鍛えるのが近道です。L と R の聞き分け方は「L と R の聞き分け方:音とスペクトログラムでつかむ」で同じように解説しています。母音の「ア」の違いは「hat・hut・hot の聞き分け方」「hurt と heart の聞き分け方」で確かめられます。

PhonoFit アイコン

PhonoFit:英語の音を聞き分ける耳トレ

B と V を含む 17 ペアを 12 種類の声でランダム出題。まず 20 問の耳診断(無料)で、いまの「耳レベル」を測ってみてください。

App Store からダウンロード Google Play で手に入れよう