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2026 年 10 月 28 日

シャドーイングの効果が出ない人へ:先に「聞き分け」を作るという順番

シャドーイングは、英語の音声を聞きながら、少し遅れて同じように声に出す練習です。音のつながりやリズム、話す速さに慣れるのに効果的で、多くの学習者が取り入れています。ところが、何か月も続けているのに聞き取りがあまり変わらない、という声もよく聞きます。その原因の 1 つが、「聞き分けられていない音は、真似もできない」ということです。

シャドーイングは「聞こえたとおり」に真似る練習

シャドーイングでは、耳に入った音をそのまま口で再現します。つまり、真似できるのは自分に聞こえている音までです。light と right が同じ「ライト」に聞こえているなら、どちらを真似しても、口から出るのは同じ「ライト」になります。

しかも、お手本と自分の声の違いにも気づけません。録音して聞き比べても、違いが聞こえていなければ「ちゃんと真似できている」と感じてしまいます。シャドーイングがうまくいくのは、お手本とのずれに気づいて直せるからです。そのずれが聞こえないと、同じ練習をくり返しても修正が起きません。聞くだけの練習でも事情は同じです(聞き流しだけでは伸びにくい理由は「英語耳は大人でも作れる」で解説しています)。

下の 3 組を、1 つずつ聞いてから真似してみてください。左右の違いがはっきり分からなければ、真似した音もおそらく同じになっています。

アメリカ英語・女性
イギリス英語・男性
アメリカ英語・男性

こんなサインがあれば、聞き分けから

サイン起きていそうなこと
録音を聞き返しても、お手本との違いがよく分からない違いそのものが聞こえていない
文の意味は追えるのに、似た単語をよく取り違える文脈で補って聞いている
L と R、B と V を含む単語で、いつも同じように言ってしまうその音の区別があいまい

どれかに当てはまるなら、シャドーイングの量を増やす前に、聞き分けを鍛えておくと、その後のシャドーイングが変わってきます。

聞き分けを鍛えると、発音も変わる

日本語話者に L と R の聞き分けだけを訓練した研究では、発音の練習をまったくしていないのに、L と R の発音も上手になりました。英語母語話者が聞いて判定したところ、訓練の後の発音のほうが、正しく聞き取られやすくなっていたのです(Bradlow et al., 1997)。この変化は、訓練の数か月後にも保たれていました(Bradlow et al., 1999)。発音への効果の大きさは研究によってまちまちですが、「聞こえるようになると、言えるようになる」方向の変化が起きることは確かめられています。

聞き分けの土台ができると、シャドーイングでもお手本と自分の声のずれに気づけるようになります。シャドーイングを、本来の「ずれに気づいて直す練習」として使えるようになるわけです。

おすすめの組み合わせ方

聞き分けを先に、シャドーイングを後に

1 日の練習なら、最初に聞き分けの練習を 10 分ほど、そのあとシャドーイングを 10〜15 分、という順番がおすすめです。聞き分けで耳を慣らしてからシャドーイングに入ると、注意を向けるべき音に気づきやすくなります。聞き分けの練習は、単語だけを聞いて 2 択で答え、すぐに答え合わせをする形が効果的です(高変動音素訓練、HVPT)。

シャドーイングで詰まった単語を、聞き分け練習に回す

シャドーイングの素材で、いつも言い間違える単語や、聞いてもぴんと来ない単語があれば、メモしておきます。それが L と R や B と V を含む単語なら、その音の組を重点的に聞き分け練習します。2 つの練習が、お互いの弱点を見つける道具になります。

シャドーイングはやめなくていい

シャドーイングは、音のつながりやリズム、速さに慣れるための練習として、聞き分けでは代わりがききません。役割が違うので、片方だけでなく、順番を考えて組み合わせることが大切です。L と R、B と V、3 つの「ア」、hurt と heart の違いが音のどこに表れるかは、「L と R の聞き分け方」「B と V の聞き分け方」「hat・hut・hot の聞き分け方」「hurt と heart の聞き分け方」で、音声とスペクトログラムを使って確かめられます。

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主な参考文献:

Bradlow, A. R., Pisoni, D. B., Akahane-Yamada, R., & Tohkura, Y. (1997). Training Japanese listeners to identify English /r/ and /l/: IV. Some effects of perceptual learning on speech production. Journal of the Acoustical Society of America, 101(4), 2299–2310.

Bradlow, A. R., Akahane-Yamada, R., Pisoni, D. B., & Tohkura, Y. (1999). Training Japanese listeners to identify English /r/ and /l/: Long-term retention of learning in perception and production. Perception & Psychophysics, 61(5), 977–985.

Logan, J. S., Lively, S. E., & Pisoni, D. B. (1991). Training Japanese listeners to identify English /r/ and /l/: A first report. Journal of the Acoustical Society of America, 89(2), 874–886.

Thomson, R. I. (2018). High Variability [Pronunciation] Training (HVPT): A proven technique about which every language teacher and learner ought to know. Journal of Second Language Pronunciation, 4(2), 208–231.